●「中秋の名月」のおはなし(98.9.14)

 今年の10月5日は中秋の名月です。
ところでみなさん、「中秋の名月」と「仲秋の明月」の違いってご存じですか?
 まず旧暦の秋とは、旧7月・8月・9月を指します。(参考までに、春は1〜3月、夏は4月〜6月、そして冬は10月〜12月です。だから“新春”なんですね)
 その秋の真ん中、旧8月のことを「仲秋」といいます。そして「明月」は、澄んだ明るい月をすべて指しています。だから「仲秋の明月」とは、旧8月すべての澄んだ月のことになります。
 そして旧8月の真ん中、15日のことを「中秋」といいます。さらに「名月」とは、8月15日と9月13日の月のみを指しています。
 結局、旧8月15日のお月見は「中秋の名月」と言うのが、より正しいようです。

 このお月見の風習は、中国唐時代の観月宴「中秋節」に由来があるそうです。日本では平安時代に、村上天皇が宮中で観月の歌会を催したのが始まりだそうです。
 その後、室町時代からは月を神としてあがめ、芋などを供えるようになりました。日本では、収穫を祝う祭りの意味もあったようです。

 また、お月見は旧8月15日と旧9月13日の両方を見るのが良いとされています。どちらか片方しか見ないことを「片見月(かたみづき)」と言って、不吉だと忌み嫌われています。
 十五夜の月には芋を供えるので「芋名月」、十三夜の月には栗や豆を供えるので「栗名月」「豆名月」と呼びます。
 徒然草のなかで吉田兼好法師が「花はさかりに 月はくまなきをのみみるものかは」と言っているように、満月よりも少し欠けている十三夜に情緒を感じたのでしょうかね。

 月の呼び名には、いろいろなものがあります。
中秋の名月前夜は「待宵(まちよい)」といい、その月(つまり十四夜)を「小望月(こもちづき)」と呼びます。
 十六夜は「いざよい」、十七夜は「立待月(たちまちづき)」、十八夜は「居待月(いまちづき)」、十九夜は「伏待月(ふしまちづき)、寝待月(ねまちづき)」、二十夜は「更待月(ふけまちづき)」と呼びます。
 それぞれ、月を待っている姿が浮かびますね。


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